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壁を通じて人々とつながる喜び

2014.01.1 | コラム
田崎 龍司 氏

THE SOARAのエントランス奥にあるオブジェとなっている壁を製作してくれた左官職人の田崎さんに人にやさしい壁について、また壁づくりへの想いなどについてインタビューを行いました。

化学物質過敏症から、自然素材をつかった壁づくりへ

つい先日、還暦を迎えたばかりの左官職人 田崎さん、左官歴45年。
20歳前半までは左官として、ビルの工事などしていたが、ある時を境に化学物質を使われた建物に入ると、うすい粘膜のあるところがピリピリし、しだいにのどが痛くなり、頭まで痛くなる。化学物質過敏症が発症したのでした。

花粉症という言葉ができるずっと前から、花粉症を発症していたのですよと。

そんな中、自分のカラダに影響があるというものを施主(お客様)に提案するのは難しいと、自然素材をつかった壁づくりを始めましたと。

人にとって良い壁は、『手作りの漆喰』。
漆喰は、消石灰と海草、つなぎに麻の繊維などを混ぜてつくる、すべて天然の素材。
最近は、珪藻土がいいと言われているが、やはり工業製品はなんかしらの接着剤や漂白剤が入っている。だから、『手作りの漆喰』なんだよと。

THE SOARAの呼吸する壁

壁のイメージは、THE SOARAのスタッフが渡した1枚のポストカード。そこには、白い『ハヌマーン』が。『ハヌマーン』は、インドの神様で自分が信じた王様、王女様につくす『献身』をつかさどる神様で、そんなカードからインスピレーションを得て、田崎さんの自然素材を使った壁づくりはスタートしました。

壁を塗るときはね、2時間でも3時間でもその場でずっと壁を見るんです。するとね、ふと、これや!と想いが浮かんできて一気に塗り仕上げるのですと。

材料には、

屋久島の白土、赤土
有明海産の貝灰、玄界灘の海砂
鹿児島の蕨粉、天草の鮑の貝殻
武雄の古代米の藁、黄金箔
そして、アメリカ ニューメキシコ州 サンタフェの北東にあるチマヨという街のサントワリオ・デ・チマヨと呼ばれる「奇跡の砂」で有名な小さな教会の砂が使われています。

この壁が部屋に運ばれた途端、とってもいいエネルギーに包まれたのを
HE SOARAのスタッフは感じました。

『手をあててごらん、自分の脈を感じることができるんだよ。』

と田崎さんに言われるまま、両掌を壁の中央にあてると、
確かに、自分の脈、そして鼓動を感じ、とても落ち着いた気分になります。
不思議ですね。

壁を通して、人々とつながる喜び。

文化財である、築200年の古民家再生から、一般住宅まで手掛ける田崎さん。
左官職人は、日本はもちろん、海外にもいるし、材料は近いものを使ってますが、道具が違うんだよねと。
左官の仕事は日本人に向いているとも。

僕の宗教観はね、日本に根付く、『八百万の神』。
すべてに神がいると思えば、なんにでも優しくなれるからねと。

自然のチカラをかりて、壁をつくって、みんなが喜ぶ顔を見るのが好き、壁を通して人々や自然とつながる喜びを熱く語ってくださいました。

そして、何より、土壁が好き!と瞳をきらきらさせている還暦を迎えた職人さんに大きなチカラをいただきました。

田崎 龍司 氏

田崎左官代表
左官一級技能士