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ヨーガは希望の星になる

2015.09.15 | インタビュー
日本ヨーガ療法学会理事長 木村慧心先生

前回に続き、日本ヨーガ療法学会理事長 木村慧心先生に世界で活躍するヨーガ療法士についてお話をお伺いしました。ヨーガが数千年にわたり伝えられたその意味、ご堪能ください。

伝統的なヨーガからヨーガ療法へ

伝統的なヨーガを身に着けた木村慧心先生。しかし、伝統的なヨーガはヒマラヤの過酷な自然環境で修業をする人達に向けたもので、都会で、しかも不調を抱えた人には不向きであると感じた木村慧心先生は、ヨーガセラピー/ヨーガ療法で人々を健康に導くことに注力されていきます。

そのきっかけともなる出会いが

アメリカのNASAやハーバード大学でロケット工学の研究をされていたナゲンドラ先生、そしてその妹でイギリスのエジンバラ大学で医師をしていたナガラ―トナ先生との出会い。

ナゲンドラ先生は、NASAなどでの生活を通じて、「離婚する人も多く、ひとりとして幸せな人がいないのでは」と感じ

「人を幸せにするヨーガの研究をしたい」

と1975年にその地位を捨てて祖国インドに帰り、バンガロール市でスワミ・ヴィヴェーカナンダ・ヨーガ研究財団(SVYASA)を妹のナガラ―トナ先生と作っていったのだそうです。

ヨーガの薬剤師・ヨーガの内科医

「お医者さんは、あらかじめ診断をしないと薬は出せないよね」
「でも、一般的なヨガ・インストラクターは腰痛にはこのポーズ、胃潰瘍にはこのポーズとポーズを指導しているのが一般的だけど、これは実はとても危険なんですよ」と木村慧心先生。

「人は、みなさんもご存じのように、ひとり、ひとり違い、
そして症状は腰痛だけど、腰痛になる原因はそれぞれ異なるのに
ポーズをパターン化して指導したり、腰痛の心理的原因を探りあてることせずにポーズだけを指導していても根本的な症状改善にはつながらないのですよね」と。

「なぜ、その不調がでているのか」

それを探り当てるために、

学会認定ヨーガ療法士は様々な方法で<見立て>を
行う

のが一般的なヨガ・インストラクターさんとの違いなのですよと。

言葉によるカウンセリングだったり、
病院などでも利用されている心理テストだったり
様々な方法で、不調の原因を探っていく

そして、心身の不調の多くは、

ご本人の「誤認知」からきているものが多く

その勘違いしていまっている認知を呼吸やポーズを通じて、自分のカラダやこころに、それであっていますか?と問いかけていく。

例えばトラウマであれば、トラウマはどうしても過去に意識が残っているから
そのショックなどを思い出すたびに、心身の不調として現れる
過去に起こったことは起こったこととして、

ヨーガ療法の実習で「今・ここ」に

意識を向けていくことで、トラウマを手放していく

糖尿病でも、食べ過ぎてしまうには何か心に原因があるわけで
カラダが求めている食事と、頭がエラーを起こして求めている食事に
ギャップが生じそれが重なることで糖尿病という症状となる。

こんなことに気づいていくことを
(社)日本ヨーガ療法学会認定ヨーガ療法士はお手伝いしていますと。
学会認定ヨーガ療法士は、

ヨーガの薬剤師であり、内科医のような存在

なのですよと。

ヨーガ教室だけではなく、クリニックやホスピスでもヨーガを教えている
学会認定ヨーガ療法士のみなさんは、世界でも活躍されているそう。
その活動の内容をお伺いしました。

チェルノブイリで希望の星となる

下関のザビエル教会では、インド・ケララ出身のアレックス神父が主催するヨーガの会があり、木村先生も年に一度そこでヨーガを教えられていたそうです。
ある時、キエフからのウクライナ人医師と通訳がその会に参加をされ、ヨーガが医学的に良いのであれば、ぜひキエフに来て教えてくださいというオファーが木村慧心先生にあったそうです。それは、2008年12月。

木村慧心先生は、全国にいる認定ヨーガ療法士の中で、特に、広島・長崎で被爆をしたけれどヨーガを実習することで、元気にしている人を知りませんか?とたずねたところ、両親や祖父母が被爆を経験したヨーガ療法士が名乗りでてくれ、ヨーガを実習することで元気に今も元気に暮らしているビデオを撮影し、キエフへ向かいました。

チェルノブイリの事故があり、世界各国からの支援が集まったキエフ。しかし、人々の心はこの支援からもとても傷ついていたそうです。実験データが主な目的で、自分たちがモルモットにされている、いつか支援がやめられてしまうのではないかと、木村先生たちは最初の1年全く信用がされていなかったそう。

しかし、習ったヨーガ療法を続けた人たちからは、次第に

「眠れるようになった」

「心臓が良くなって薬が半減した」

など声が寄せられ、

<これ以上、不調や病気にならないための方法を教えてくれているのかもしれない>

と人々が集まるようになりました。世界中からの支援も現在継続しているのは、日本からの支援のみで、日本ヨーガ療法学会では、2014年にキエフの医療関係者、被曝者の人たちをヨーガ療法の教師にするトレーニングも開始。

キエフの人が、キエフの人を癒して、元気にする活動

が今も続いています。
そして、東日本大震災でもヨーガ療法士は、各地でヨーガ療法レッスンを通して人々の心と体の健康をサポートされ、福島では、トラウマの解消方法として、消防車の中でできるヨーガ療法DVDを救命救急士にも配布するなど、支援の活動は続いています。

ヨーガという薬で、ドラッグを卒業へ

ヨーガ療法の支援活動は、タイや日本の薬物依存症リハビリ施設(ダルク)でも行われているそうです。
薬物依存になってしまった場合、薬物を抜く、薬物が抜けて自己コントロールをできるようになる、そして、社会復帰への職業訓練とステップがあり、実は、ドラッグの常習性をなくしていくには、<自己コントロールができる力をつけていくこと>がポイントなのですが、

自己コントロール力を身につけさせる薬はない

のが現状。一方、ヨーガという薬を渡すと、徐々に

<今・ここにいる自分>に意識が向けられる

ことで、頭の中に浮かぶ誘惑や不安を手放すことの大きな助けとなるそうです。

ネコバスならぬヨガバス、ネパールへ!

2014年11月インド政府はヨガ・アーユルヴェーダ省をつくり大臣も任命され、インドのナレンドラ・モディ首相の提案で、国連のユネスコも毎年6月21日を<国際ヨーガの日>とすることを宣言しました。今年の第1回目の国際ヨーガの日では、(社)日本ヨーガ療法学会はインド大使館で大使からヨーガ普及と研究に貢献しているということで功労賞が授与されたそうです。

更にこの日、木村慧心先生が発起人となり、認定ヨーガ療法士によるチャリティヨーガが日本各地300箇所6000人が参加して開催され、募金が約400万円ほど集まったそうです。
そして、この募金で

ネコバスならぬ、ヨガバスをネパールの被災地に走らせるんだよ!

と瞳をキラキラさせながら話す木村慧心先生。

大震災に見舞われたネパール、

今、不足しているのは食糧ではなく医療

とのこと。無医村の場所も多く、今回の震災で始めて医師にあったという人もいるそう。そして、救急医療が落ち着くと次に必要とされるのは、震災によるトラウマへの対応。トラウマと言えば、ヨーガ療法。スポーツタオルや団扇にヨーガのポーズとネパール語をかいて、バスで被災地ヨーガ療法のレッスンへ。参加してくれた方に配布して、朝、顔を洗いタオルで顔を拭いたついでに、ならったヨーガ療法を思い出し、ポーズをすることで

「自然に心が今ある自分に向かいトラウマの苦しみから解放へ」

そんな想いの込められたヨガバス。
11月には、ヨーガ療法士を乗せてネパールを走ります。

日本に、世界各地へと多忙を極める木村慧心先生に
たっぷり2時間半お時間をいただきインタビューをさせていただきました。

とても上品でユーモアがあり、お茶目な木村先生の話を聞いていると
ふと、インドのスワミ(お坊さん)と話している気分になりました。

インドで修業をしているスワミと
数々の団体の理事をお勤めで、日本の紳士木村慧心先生を
少し分けて考えていましたが、

目の前に座っている人は

<みんなの幸せのために行動する人>

<寡黙に、行動で世界を変えていく人>

まさしく、スワミだったということに気づいたのでした。

まだまだ聴きたいお話はたくさん。
また、どこかで機会をいただき、みなさんにも
お伝えできればと思っています。

編集便り

ヨーガとは、生きる道。

古代に9つの哲学が誕生し、今も残っているものが仏教
そして、その他の1つがヨーガと言われています。
ポーズや呼吸を通してカラダを整え
カラダが整えば、心も整っていく

自分の内側を見つめることで
心を整えていく、心が整えばカラダも整っていく

現在の多くの不調が、認知の誤りからきているものが多く
その認知を正していくのもヨーガならでは。

症状を緩和する薬はあっても
認知を正せるのは、実は自分自身だけ。
ヨーガは、本当はこっちの道だよ~と導いてくれる。

生きているということは
楽しいことも時には辛いことも

課題に直面しても
健やかにその課題を乗り越えていく智慧が
ヨーガの中にはあります。

そんなヨーガの智慧を
日本、そして世界で余すところなく伝える
木村慧心先生。

その瞳には、また一歩先の
希望の星が輝いていました。

ヨーガ療法士になりたいという方は
全国各地で学ぶ場が用意されています。

日本ヨーガ療法学会
http://yogatherapy.jp/
日本ヨーガ・二ケタン
http://yoganiketan.jp/

また来年の4月には埼玉で日本ヨーガ療法学会が開催され
一般の方が参加できる講座も用意されているそうです。

まずは、ヨーガを体験したいという方は
どうぞTHE SOARAでもレッスンを行っています。
お気軽にお問合せください。

台風の中で行われたインタビュー
ご多忙の木村先生、そして事務局のみなさま
ありがとうございました。

日本ヨーガ療法学会理事長 木村慧心先生

(社)日本ヨーガ療法学会理事長
日本アーユルヴェーダ学会理事
日本ヨーガ・二ケタン代表
(社)日本統合医療学会理事
米子内観研究所所長 等役職多数

日本ヨーガ療法学会
http://yogatherapy.jp/
日本ヨーガ・二ケタン
http://yoganiketan.jp/